縁起を担いで活躍を応援できるツール
のれんは主に商人たちの店のシンボルとして使われることが主流でしたが、
歌舞伎役者や舞台俳優の人たちも楽屋のれんというものを
先輩やお世話になった方々につくってもらうことが縁起のいいこととして広まりました。
この用途としてはのれんの意味である結界と言われていて、のれんの内側と外側の
境界線が存在するからこそ人はけじめをつくることができ、より良く成長しようと頑張るのです。
そして、のれん分けなどの言葉があるようにのれんにはその店の信用の象徴となります。
これがあることでその店の目印となり、次期後継者にもこの信用を受け継いでいくのです。
楽屋のれんにはその人のイメージやゆかりのあるものを使うことが多く、
それを見るだけで誰のものかがわかるほどです。
公演中の楽屋の入り口に飾って縁起を担ぎます。
無事、怪我などなにもなく公演をまっとうすることができて、
みんなに満足してもらえるようにと願いが込められています。
普段、扉は開け放ってこれだけが下がっている状態なので
楽屋にいる方に用事があるときは、トントン、失礼しますということがマナーになっています。
一応扉がある前提であいさつをおこたらないように配慮します。
先に開けてしまい、お部屋の中が丸見えになってしまうことはマナー違反です。
楽屋のれんを飾れるようになると一人前の証です。
これがあるだけで仕事にたいするモチベーションも向上して頑張る活力になります。
これは一般的にはあまり公になっていないもののため、知らない人も多いですが、
役者にとってこれは役のオンオフにも繋がる大切な役目を担っています。
これを通り楽屋に戻るとその役から解放されて本来の自分に戻り、
ひとたび楽屋から出るとその役があたかも本当の自分であるように切り替わります。
これがあることで常に新鮮なお芝居をすることができて
より一層役者として一人前になっていくのです。
これのターニングポイントが楽屋のれんをさげることから始まります。